ドイツの美大受験〜マッペ提出編③〜

さて、Dちゃんに約束を取り付けてもらって、マッペも完成し、あとは見せるだけ。

 

ちなみにこの時点でマッペは1つしかできていません。でも学校のホームページに、”当日中に結果を出すので当日中にマッペを持って帰れる”という旨が書かれていました。

「てことは1つのマッペで2つ学校が受けられるってことじゃーん!お得!」と考え、帰って来たマッペを翌日が締め切りの今の学校に提出しちゃおうという算段でした。

 

約束は木曜日。明日はまだ火曜日だしマッペが完成したお祝いにビール飲んじゃおうかね。へへへへ、、、

 

とDちゃんと飲んで帰り、翌朝Dちゃんのメールで目が覚めました。

 

Dちゃん「ちゃんと出せた?どうだった?」

 

へ・・・?

わたし「なにが?今家だけど。」

Dちゃん「・・・・・!!!!今日だよ約束の日!!!」

わたし「・・・・・・!??!?ええうえわfpj;?!?」

 

あまりにも阿保すぎるわたしは火曜日Dienstag と木曜日Donnerstagを間違えていたのでした。

 

D!!!!!!!

頭文字(イニシャル)D!!!!!!!

 

ドリフト仕損なって転落どころかまだ車にも乗ってないぜ。

 

とか緊急事態すぎてどうでもいいことばっかり頭に浮かんでは消えてゆきました。

 

しかしそこにはまたもや救いの手が。

実はその約束、どうやら個人面談ではなく、応募者が一気に集まり各自マッペだけ出してまた取りに来る形式のようなのです。ということは、少なくとも教授を待たせたということはない。と。

そして、その日は2日設けられていて、翌日の水曜日も開催されることがわかりました。Dちゃんは火曜日の予約を取ってくれたのですが、一気に見るなら水曜日に持っていってもかわらないんじゃないか?

と提案してくれました。

 

そして水曜日、渋い顔をされながらも受け取ってもらえ(優しい)なんとか提出できたのです。

 

木曜日にのこのこ行っていたら出せてなかった・・・

Dちゃん、メールしてくれてありがとう・・・・

 

そして夕方、約束の時間にマッペを取りに行くと、提出時に渋い顔で受け取ってくれた教授が。とっても綺麗なひとで、それにしても若いな、、お肌のお手入れとか気になるな、、、とかどうでもいいことを考えていたら

f:id:namska:20160514163248j:plainとってもよかったわ!合格よ!

f:id:namska:20160514163541j:plainありがとうございます!!!

 

f:id:namska:20160514163248j:plain二次選考に進むから、そこで教授に見せてね!

 

 

f:id:namska:20160514155046j:plain ・・・?????

 

 

 

 

「あんた、誰?」

 

 

 

 

 

f:id:namska:20160514163248j:plain 【Jさん(助手)推定年齢45歳 画家】

 

まじか。

二次選考がある〜的なことは書いてあったが、マッペを見せるのは一回でいいと思っていたわたしの算段は見事に崩れ、一瞬目の前が真っ白になったのは春の日差しのせいではありません。

 

二次選考は今の学校の締め切りより後で、このままでは教授に見てもらうマッペがありません。今の学校を受験しないパターン、この二次選考を諦めるパターン、いろいろ想像した結果、

 

マッペのコピーを作る

 

という一番大変な道を選択したのでした。

つまり全て本物である必要があるマッペの作品約30点を一つ一つまた同じように自分の手でコピーするのです。

もちろん、本当なら、同じようなコンセプトで新しい作品を作った方が自分のためにもなるのですが、色の組み合わせや形などを考えあぐねる時間はまったくありませんでした。

期間は10日間。

 

しかも、クラス旅行でギリシャにいる期間にまるかぶり。

 

しかしもうなりふり構っていられません。

ギリシャで海を楽しんでうまいもん食べてドローイング鬼のようにしてやる!!

と、史上最高のポジティブさで、ほんっとうにギリッギリでコピーを仕上げたのでした。

もちろん絵画なので、完全コピーなどできないし、する必要もありません。

要素が同じならいいのです。

紙の上で起こっていることを大切にするのはコピーでも同じこと。

とっかかりはコピーですが、割と違う作品もできました。

しかし大変なのはやはり、その時考えていることが生で出てくるドローイング、1年前のドローイングの線や間隔に同意しかねることも多々あり、

「なんでこれ描いたんやっけ?」

と悩む場面もありました。

しかしそのたびに思い出し、今の自分からすると新鮮な眼差しに感心したりもしました。

今までもこれからも、30枚のドローイングをコピーすることってないだろうしもうやりたくはないんですが、自分の思考を辿る旅をギリシャでしたのはなんだか不思議な巡り合わせです。

 

様々な苦難を乗り越え、多くのひとそしてなによりDちゃんに世話になり、ようやく教授と会う日、もうこれで受からないわけないわと思っていました。

 

そういう風にできているんだと。

 

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そして無事マッペを認めてもらったのでした。

 

 

しかし、こんな波乱のマッペ提出、まだまだ気が抜けません。

なんせわたしはまだ公式に応募していないのだから・・・・

またもや締め切り最終日に提出予定。

ここは何も起こらないでくれ・・・・・!!!!!