Breaking the Waves 舞台

ラースフォントリアーの映画
「Breaking the Waves」
原作の舞台を観てきました。
物語は映画とほとんど同じでしたが、
医者と義理姉のドドが映画よりも
砕けた役どころで面白かったです。
映画の方は笑った記憶がないのですが、
笑っていいのかようわからん部分は沢山あった気がします。
それを取り出して、はい、笑っていいよーっ
てしてくれたような舞台だったので楽しめました。

ところでこの映画の邦題は「奇跡の海」なんですが、
そして全然イメージと違う題名になってるんですが、
この響きの胡散臭さもまた悪くないと私個人は思っています。

お話を簡単に説明すると、
神と話をする(気分の)教会に仕える一家の長女が
多分統合失調症かなにかで、でもそれはまあそこまで
重要じゃなくつまりは愛のために信仰をすて愛が信仰
になるみたいな話。

だと理解しています。

このお話は、心の拠り所のないお話なのです。
主人公は神と話すわ、
旦那は最果てみたいなとこで仕事してて怪我して帰ってきてからは
とんでもない駄々をこねるわ、両親は娘よりも神様大切にするわ、
義姉は義姉で主人公に依存してるわ、

で、もう、誰にも感情移入できずに物語を眺めては、
観客の無力さを思い知らされるお話です。

でも舞台は、先に述べたふたりが少し、いやかなり、
観客に寄り添ってくれたので
楽しかったー面白かったー
と思えたのでした。
しかしそれは「いま、ここ(でた)」
で起こっているからできる、新しい関係性の挿入。
それはラースフォントリエの
寄る辺なき生、不条理、 という軸からは
離れてしまう気もしますが
絵を作るときにも大切な バランス
を見た気がします。
まじめ。